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フリーゲームについて!

糞生意気にも他の作品の感想など。
これは私がそう感じました、というだけのモノなんですけど。
私と、私の拙作の事はこの場では棚に上げると言うことでお願いします。
それとイラスト下手で似てないですけど、すみません。

重要なネタバレを含む場合があります!!!!!


  2008/12/30

  今日はsimple text作品群をご紹介します。

simple textは以前フィンジアスの少女でもご紹介したサイトさんです。

ここは手軽に出来る作品が多く、是非色々と楽しんで欲しいです。

サイト全体としては、詩などの短編が多いですが、双鏡などの長編もあります。

双鏡は礼門Zさんの作品のリメイクだそうですよ。

ノベルというには短い作品が多いです。詩に音楽と絵を加えたような作品が多いです。

こういう試みは、ありそうに見えて、なかなか珍しいのではないでしょうか。

ネットでのフリー作品ならではの作品群と言う事が出来ると思います。

基本的に雰囲気を大切にしたタイプの作品が多いので、ちょっと深呼吸してから

楽しむ事をお薦めします。

どれも一定以上の品質がありますが、手軽さも考えて、いくつか作品をご紹介します。

 

 あ、そうだ。注意点があります。短編は、Yuuki Novelの特性もあるのか、

いきなりフルスクリーンで、さらに操作を受け付けなくなる仕様のものがあります。

大抵の場合、落ち着いた所で、右クリックするとウインドウモードにするメニューが出てきます。

また、終了はEscキーで行える場合がほとんどです。

エフェクトスキップ不可の場合が多いので、せっかちな方は最初に覚悟しておくと良いです。

恐らく、音楽、効果音、テキストの兼ね合いで、エフェクトスキップは作品の価値を下げるとの

判断だと思います。詩的な雰囲気を重視している作品が多いので、私はそれが正解だと思いますが

どんなものか試してみよう、と気軽にダウンロードした方は、ちょっとイライラする所かも知れません。

でも、できるだけ作者の意図を尊重して、フルスクリーンでプレイして欲しい所です。

なお、私が今回ご紹介するのは、TOPページから「Japnese」を選び、その後左側の「ゲーム・ツール」から、

「サウンドノベル」へと進んだ所です。

それでは、以下にご紹介!

 

 うさぎの餅つき:

  全てのゲームやノベルなどの娯楽作品の中で、おそらく私が一番たくさんリプレイした作品。
ウサギが可愛すぎる。すぐに終わる短編です。RE-SHARPさんの絵も素晴らしいですが、TEAさんのテキストも
非常に高品質。 真面目さを失わない所が非常に良い感じ。夏目漱石の初期作品をちょっと思い出しました。
最初の選択は、白黒映画風をお薦め!

 

 史上最低のバレンタインチョコ:

  漫画をノベルゲーム形式にしたもので、声も入ってます。
可愛い絵と声が良い感じ。シンプルなテキストで無駄がなく、学生時代を思い出す、明るいストーリー。

 

 あなたに一杯:

  声かわええーー!! これも何回リプレイした事やら。

 

 ちゃるめら:

  Teaさんの詩のセンスを垣間見る作品。何気ない日常での出来事で、山場も落ちもなし。
でも、何か不思議な感じ。

 

 夏影:

  RE-SHARPさんとTeaさんの本領発揮。淡い恋愛の詩です。ただし、Escキー以外の一切の操作を
受け付けない非常に硬派な仕様です。Escキー以外では終わる事も出来ないので、注意して下さい。
Escキーですよ。キーボードの一番左上のキーです。 これを知らず、かつせっかちな方にはウイルス並の仕様
ですので、くれぐれも注意して下さい。 そうでない方も深呼吸してからどうぞー。
品質は非常に高いと言えます。

 

 蝉:

  蝉の一生と、その意味を詩的に語る。ちょっとほろ苦い雰囲気の作品。

 

 週末、どこかの猫と:

  ひえーっ!ここで終わり!?続きはないの!? 雰囲気、文章とも並外れて優れた作品ですが、
なげっぱなしジャーマンが炸裂。ただ、最近の商業作品にありがちな、変に狙ったような中途半端な嫌味はないです。

 

 ばらんす:

  REさん、なにやってんですか。


ウサギの餅つきから。 レトロなデザインがよく合ってます。


  2008/11/01

  久しぶりのレビューですが、今日は鉄鋼団のKinokoシリーズです。

  去年に礼門屋さんであったイラストコンテストを機会にプレイして、すっかりkinokoのファンになりました。

NOIEさんは素晴らしいクリエイターです。シナリオも素晴らしいし、グラフィックも素晴らしい。グラフィックは

キャラ絵の丁寧さも大したものですが、画像加工にセンスを感じます。kinoko3の後半、どきどきするイベント絵が

たくさんありました。

音楽も素晴らしく合っていて、どこの素材かと思い、サイトのリンクやReadmeを探してみたけれど

記述がない。なんと自作でした。テキスト、グラフィック、音楽、スクリプトを一人でここまで高いクオリティーで作る人は他に

知りませんです。

 

 ここでちょっと断っておきますが、私は一人でテキスト、スクリプト、グラフィック、音楽をやる事はすごいと思いますが、

それはプレイヤーが意識しなくても良い事だと思います。すなわち、マルチな才能に価値を見ておりません。

Kinokoについては、仮に分業で作られていたとしても、それぞれが驚くべき品質であるという事です。

 

 kinoko、kinoko2、kinoko3と、3作あって一応ストーリーは関連があります。登場人物も続けて出てきますが、

主人公はそれぞれ変更されています。順番に解説すると、

kinokoは最初に公開された作品で、表面的にはネタ臭が非常に強い長編ギャグです。

しかしながら、ネタでは済まされない計算があります。

ヒロインのマッシュは言動が非常に変ですが、最後までプレイしてみれば、矛盾するような事は

一切言っていない。世界を救う、その使命に対して実直であっただけなのです。

その健気さとラストシーンの意外なまでの美しさが感動を与える仕掛けです。

全編に漂うネタ臭が落ちを引き立てます。

 

 kinoko2はネタ臭はそのままに、完全なバトル物に大変貌しています。

初代Kinokoから、ネタ臭以外の雰囲気はガラリと変わり、気合が入っています。

フリーゲームでは稀に見る凝った作りのデザインとスクリプトが私の度肝を抜きました。

また、テキストも考え抜かれた素晴らしい出来です。

ストーリー自体はバトルものですが、主人公の心の強さ、成長に主眼が置かれていて、

よく読めば、非常に真面目な正統派なのですが、それをネタで包み隠しています。

ちなみに萌え要素はネタによって、かき消されます。

 

 さて、問題のKinoko3ですが、これも絶句してしまう程に手間がかかってます。

Kinoko2の時点で、びっくりしましたが、3はその遥か上を行きます。

やっぱりネタだらけですが、そのテキストは計算され尽くしています。

初代kinokoには散見された間を埋めるためのテキストはなくなって、

遥かに読みやすくなっています。シーンごとの落ちをキチンとつけて、それでいて

この無駄のなさは、考えに考えた末でないと出来ない事を私はよく知っているつもりです。

そして、丁寧に描いた人物が細かい伏線の積み重ねの末に発するセリフのカッコ良さは

ちょっと例を見ないです。

 

 ちょっと例を挙げると、主人公は憧れの先輩が消えてしまった事件に関わり、ショックを

受けます。その事を気にしてウジウジするんです。

そこで主人公の師匠のセリフです。

「君にはそうなって欲しくないだけさ。ヤツの事を美化しようとするな。詮無いことだ」

こういうカッコいいセリフがさりげなく、ばっちり決まります。こういうセリフを陳腐化させない

為には、ストーリーのコントロールがよほどしっかりしてないといけません。

ネタの合間にこういうシーンがどんどん出てくるのです。

 

 主人公のいる町には、市長がいるのですが、市長もおちゃらけています。

この作品ではそういうキャラも多いのですが、シリアスなシーンでも彼は自分の

ペース、話し方を貫きます。終盤のシリアスなシーンでは、それが逆に凄みになっています。

なかなかお目にかかれない、凄みです。グラフィックや音楽との連携も素晴らしい。

 

 そして、妻科の町が徐々に壊れて後戻り出来なくなり、崩壊していく様が

さりげなく、寂しく描かれていて、その雰囲気を絶妙の演出で醸し出しています。

 

 画像の質、音楽の質、スクリプトなどなど、よくぞここまで一人で作れたものだと

感心を通り越して呆然としてしまいます。

全編を通して、遊び心満載で、楽しく、ショッキングなストーリー。

私はこの作品の品質と作者の努力、サービス精神が評価されないならば、

同人ゲーム界に明日はないと断言できます。

だから皆さんも騙されたと思って、どうかプレイして下さい。

 

 ちなみに、果たして萌え要素はネタによってかき消されます。

それだけに製品版のオマケの野球拳は、ちょっとだけ嬉しかった。

あと、ネタの一貫として、とんでもないゲームオーバーが随所にあるので、くれぐれも

セーブはこまめにして下さいね。


Kinoko3のシイタ。キース専用座席のキャメムシに座っています。やっぱり似てないですが。


 2007/02/12

 半年放置してしまいました。なかなか心に響く作品と言うのはないものです。

ですが、ようやく見つけましたよ。題名は「しんらようちえん」

礼門屋さんの作品です。

と、思ったらこれってフリーじゃないんですって。シェアウェアです。まだ完成してない体験版。

しかも、18禁。ここで紹介して良いのかと思いましたが、面白いから紹介します。

今は体験版だからもちろん無料ですよ。

この作品はRE-SHARPさんが参加されてて、それならプレイしてみようと

いままで5回くらい探しにいったけれど、どこにあるのかさっぱり分かりませんでした。

18禁のせいでしょうか、ファイルのありかが分かりにくいです。

 

 この作品のジャンルはなんでしょう?伝奇学園コメディーとしておきます。

製作ツールはライブメーカーです。ライブメーカーの強力なグラフィック操作で

凝った作りです。グラフィック担当のRE-SHARPさん、本当に頑張っておられます。

こんなにグラフィックに惹かれた作品もなかったですよ。

そして、その魅力あるグラフィックも文章や世界観あっての事。

テキストの礼門Zさん、RE-SHARPさんはじめ、スタッフの方々の息が

すごく合ってます。

それぞれが高い技術を持ってらっしゃるのですが、みなさん変態的な方向にノリノリです。

実力のある方の悪ノリは大歓迎です。

 

 すこし読めば滅茶苦茶なギャグコメディーとの印象があるかも

知れません。しかし、矛盾するようですが、製作に対する態度は

変態として非常に真面目です。

具体的に挙げてみます。

 

 主人公がヒロインの1人と出会うシーンです。

これが、あきれるくらい有り勝ちな形式をとっています。

登校途中にヒロインが、「遅刻、遅刻するぅ!!」と叫びながら走ってきます。

お約束通りに主人公とぶつかって、ヒロインは転んでしまい、

スカートの中が見えてしまいます。見た、見ないともめだす2人。

ものすごくありがちです。既存も既存、なんど見たか分からない

出会いです。

ただ1つ、ヒロインがパンツをはいてなかった事を除けば。

 

これはお約束の展開に対するちょっとしたアンチテーゼであると思いました。

プレイヤーはその演出1つで今までとは全く違った笑いの世界に

放り込まれます。この計算があるからこそのお約束な展開なんですね。

実はこのシーン、事前の選択によってヒロインがパンツをはいているか、はいてないかが

決まるようです。むしろはいてない事で統一して、プレイヤー全てにこの面白みを

味あわせて欲しかった。

 

 さらに、このシーンで特筆すべき事がもう1つあります。

普通は陰部を晒したヒロインには、どうしても汚れたイメージがついてしまいますが

ここでは何故かヒロインのイメージが汚れる感覚がないんですよ。

私にもそれが何故なのか最初は分かりませんでしたが、プレイ後に丸一日

考え続けて、ようやく答えをみつけました。

変態さえ常人となる世界の構築に早くも序盤で成功しているからです。

 

 この作品の展開は滅茶苦茶に見えますが、かなり計算して作ってあります。

その証拠に変態揃いのキャラクター達の性格は常に変態として安定しており、

キャラがブレたり世界がブレたりするような事はありません。

例えば、主人公が転校する導入ですが、なぜ転校するのかと言うと知り合いから

呼ばれただけです。グッバイトゥユーみたいに、手続きがどうとか、理由がどうとか

いちいち解説してません。ポイっと気軽に転校します。

それは説明不足という欠点になってしまうでしょうか?

いいえ、まるで全然大丈夫です。なぜなら行動原理にこだわらない世界を

ちゃんと作り上げているからです。だから一見意味不明に思えても、それで

作品への集中が途切れたりしないんです。

 

 まだ体験版という事なので、1つだけ私から生意気を言わせてもらうと、

主人公の立ち位置が若干曖昧になっているような気がします。

変態に囲まれながらも普通の性格を堅持する主人公ですが、

突っ込み役なのか、それともこの変な世界を冷静に眺めるのか、

その点をぶれさせない方が良いかもしれません。

もちろん、現時点での主人公の柔軟さが作品の展開を広げたり

テキストを簡潔にしたりという効果があるのかも知れないので

微妙な指摘ではありますが。

 

 大人から子供まで楽しめる作品です。18禁ですけど。

ただし、2ちゃんねるや商業作品からのネタが頻繁にあるので

ある意味玄人向けと言えるでしょう。

この作品のパワーを是非感じてみて下さい!りゅみーん。


ヒロインのひとり、ポラリス。似てませんけど。
ダウンロードは礼門屋TOPページからDLサイトコムを探して下さいね。


 2006/07/22

 第四弾です。今日から日付をつけます。

それから、やっぱり新しいのは上に来た方が良いので、上に書く事に変えましたよ。

 

 で、レビューなのですが、今日は「フィンジアスの少女」というノベルゲームをご紹介します。

作者の1人のRE-SHARPさんは以前GTYの絵を描いて送って下さったご縁があって、その機会に

プレイしてみたゲームです。でも、ここに載せるのは私が皆様にお薦め出来ると思ったものだけです。

義理も人情もないのです。

 

 まずグラフィックのRE-SHARPさんの画力はさすがです。作品の雰囲気に合いまくりのフリゲ界屈指の

グラフィックです。そしてテキストといい、デザインといい、すんごいレベルが高いです。

たとえば、登場人物の服装一つとっても私には到底真似できない。控えめなデザインなので

プレイヤーからはあまり意識されないのかも知れませんが、話の雰囲気に、キャラクター達の

立場にすごく合ってます。

演出も地味に細かく、画面の効果、音楽と効果音の選択やタイミングなど、違和感がほとんどありません。

それもそのはず、作者のお2人はすごい数のノベルゲームを今までに公開されています。

素人作品に有り勝ちな細かい違和感があまりない、お手本のようにまとまった作品です。

 

 ヒロインのセリフを一つ挙げてみます。

殺人事件の渦中にありながら記憶を失っているヒロインに主人公が事件について

問いかけます。そこでのヒロインの返事が、

 「たぶん私は事件の日からさかのぼって12日間の記憶がないと思う」

と答えます。

12日、と具体的に答えるヒロインがミソ。

ヒロインは殺人事件の直後にあっても、あどけなさや無邪気さを発揮するんですが、

事件への質問に対して、すぐに的確に答えます。

この事で、幼いヒロインがやっぱり事件の事を真剣に考えて自分がいつから記憶を

失くしたのかを一生懸命に思い出そうとした事が間接的にさりげなく描かれています。

 

12という具体的な数字が、一言でヒロインの努力を表現するんですね。

どうしてこんなセリフが書けるのかと言うと、それは作者さんの中にちゃんとした

キャラの形が出来ていて、大げさに言えば、フィクションであるはずのヒロインが

作者さんに憑依して、本人そのものとして話をするからだと思います。

大げさに言いましたが、私は全ての物語は同じ作られ方をするのだと思います。

この作品では、それがより良く、より強く出来ていると言うことだと思います。

 

 フリゲ作者の端くれである私からこの作品を見て一番感心した事は、

表現したい事がはっきりしている作者さんは強いという事です。

生命の尊厳というか価値というか、そんな重いものがテーマの作品で、

さらにハッピーエンドではありません。

なのに、悲壮感は少なめに納得出来るのは何故なのか。

それはやっぱり作者さんの方針が最初にガッチリと決まっていて、

それをキッチリと表現できたと言う事だと思います。それなのに、この作品自体には

プレイ中に作者の影が不自然にちらつく事がなく、作品自体に集中できます。

以前も書きましたが、これはなかなか出来ることではありませんです。

この手の、作者さんがプレイヤーに何かを伝えたい作品では、それはさらに難しいはずで

その点を考えると稀なる傑作と言えると思います。

是非是非プレイしてみて下さい!!

こちらから入って、sound_ntool → ファンタジー  とクリックしていきます 。
コンテンツはたくさんあるので、寄り道も面白いかもです。


RE-SHARPさんの絵を私が真似るなど、それは無理と言うものでございます。
まあ、今までの絵も全部全然似てはおらんのですが。


  えー、第一作目というか、一人目は豪腕はりーさんです。

外道狩り、キャバ嬢 A GOGO !!、ベルゼブルなどの名前は聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?

 

 いきなり話は変わるようですが、私のグッバイトゥユーは一度だけ雑誌に掲載された事があります。

半ページのスペースを頂いた初めての掲載でずいぶん喜んでいたものですが、同じ雑誌で豪腕はりーさんは

上記3作全部のっており、合わせて3ページ獲得しておられました。さわやま敗北。

 

 はりーさんの特徴の一つはもちろん、その文章です。非常に個性的です。

私に言わせれば、個性的な文章というのは諸刃の剣です。

私がゲームを作る上で一番良くないと思うのは、プレイ中に作者の存在を感じさせる事だと思います。

プレイの途中に、「この作者はこんな考えなんだなあ」とか

「この作者、こんな事書いてて恥ずかしくないのかなあ」とか

「この作者、この問題に対してこんな考えを持ってるのか」などなど、

プレイヤーに思われてしまう=プレイヤーが我にかえる、という事だと思うのです。

一度プレイを始めたら、終わるまでゲームの世界にいて欲しいのが作者の願いだと思います。

そうすると、私などは無個性なのっぺりした文章を、どうしても選んでしまいます。

そしてその平坦な文章を全編に渡ってキープせざるを得ません。

途中で文の調子を変えると不自然さにつながり、プレイヤーに製作の様子を想像されそうで

怖いです。

 

 ところがはりーさんの文章はその点、アクロバット飛行しています。

ときにふざけて、ときに平凡に、ときに格調高く。軽くジョークを言ったり、深い意味のあるセリフなども。

実は、こういう自由自在な文章の作品はなくはないのですが、そのほとんどで作者の性格が

作品自体よりも前面に表現されていて、むしろ興ざめに感じるのですよ。だからプロでも

一作品の中でそんな冒険はしないもんだと思います。

 豪腕はりーさんのすごい所は、それだけ自由に文章を書いて、それでいてプレイヤーが

作品自体に集中出来る所です。

プレイヤーに、これでいいのか、と感じさせる文章の強さと独特な形式のようなものがあります。

そんじょそこらの人には不可能な技術です。

もしも私がはりーさんの真似をして作品を作ったら、大批判しか来ない作品が出来上がるに

違いありませんですよ。

 

 強烈な文章に隠れがちですが、はりーさんはスクリプト(プログラム)の方でも手間を

厭わない方です。私から見ると、よくこんな手間のかかる仕様にするよなあ、と感心する

部分がたくさんあります。自分のスクリプトが手抜きに見える事が。

 

 はりーさん作のフリーゲームの中で最新の「ベルゼブル」を是非是非プレイして

みて下さい。そして”豪腕”の名に恥じない文章を楽しんで貰いたいです。

かなりの長編ですが、長さを感じずにプレイ出来ると思います。

 私の批評は、すなわち私の妄想ですが、今回はなるほどと思ってもらえるはず。

はりーさんの作品が気に入ったら、有料の「サキュ!!」もどうぞです。

サキュ!!の方はGTYと同じでまだ落ちがついてないですけど。


また手抜きですが、絵を描きましたよ。「サキュ!!」のぴあのです。

 

 ・・・全然ゲームのレビューじゃないな。


  さて、第二弾です。「天雨月都」 作者さんのお名前はukabuhitoさんなんだそうです。

心の中では天月さんと呼んでおりますよ。

 

 この作品、かなり知名度が高く伝記系フリーノベルの代表作の一つだと言っても良いのでは

ないでしょうか。その人気の秘密は何だろうと問われれば、それは読みやすさとバランス感覚だと、

私は答えます。

 

 恥ずかしいのですが、私は文章を読むのが苦手なのかも知れません。大抵のノベルゲームや

小説は途中で投げてしまいます。

プロの小説家で有名な人の文章力はときに感心します。

でも、狭い意味での文章力の高さだけでは、私はさっぱり面白くないのです。それどころか、ときには却って

読みにくくさえ感じてしまいます。それどころか、それどころか、最近では特に必然性のない

格調の高さや難解な文章を見ると、そのたびにキーボードを打つ作者の姿が浮かび、

作品に集中出来ないという重症になってしまいました。

私がGTYを作り始めたのは、そんな感覚に悩まされ、ある意味既存の作品に見切りをつけたからでも

あります。(なんと生意気な。もちろん上記はすごく省略した言い方です)

 

 そこで感心したのが天雨月都です。とてもとても読みやすいです。

なんと言えば良いのかよく分かりませんが、文章自体に印象がほとんど残りませんでした。

ストーリー展開でプレイヤーを引き付ける魅力があるからです。

プレイ中に、「さてさて、この人の文章力はどうかなあ?」などとプレイヤーに考えさる事なく

作品に集中させてくれます。結果、文章力自体は印象に残らない。

一見矛盾するようですが、それが天月の作者さんの工夫であり、広い意味での文章力だと

思っています。

 

 このお話、主人公がマジ強いヒロインに襲われるという導入ですが分岐の一つで、

最終的に能力をなくし、主人公に頼るヒロインは可愛かったです。

感心すべき描写なのですが、それを直接的に文章では描いていません。

ヒロインはあくまでも毅然としているけれど、主人公に頼る姿が間接的にさりげなく

描かれています。私にとっては最高の演出でした。

この部分を強調して描いていれば、ありがちで興ざめだったと思います。

もちろん手抜きなどでは有り得ないですし、絶妙という言葉が一番合います。

 

 

 文章を書く人には当然文章を自由自在に操る力が要求されますが、文章力を示すための

文章は当然要らない。文章自体に感心する人もいると思いますが、天月さんのスタイルは

ノベルゲームの裾野を広げるもので、これからは主流になりそうな気さえします。

天雨月都、是非プレイして頂きたいです。


ヒロインの一人、小日向椎子。あなたの立ち回りによっては死んじゃうのです。

 

 ところで、天月さんのHPにGTYの感想があったのはホントにビビリました。
こんな所でなんですが、プレイして下さってありがとうございました。


  第三弾は「ゆうとっぷ」です。作者は はむたいらさん。

まずはこの文章を読んでみてください。センタリングしてありますけど。作者さんのHPから

紹介文をコピペ。

 

主人公、志野明雄

どこにでもいる普通の高校生

彼はひょんなことから意識不明の重体に陥り

幽体離脱し、幽霊になってしまう

途方にくれ町をさまよう明雄

そして一人の幽霊の少女ツキミと出会う…

果たして明雄は元に戻れるのか?

あるいは死んでしまうのか?


こんな感じのお話です

 

 勝手に引っ張ってきましたよ。

とても単純で簡潔な紹介です。句点がないですね。

 句点がないのは、まず間違いなく作者さんの演出だと思います。

そして余計な事は書かずに、淡々と短く作品の説明をしておられます。

その全体の簡潔さゆえに、最後から2行目の「死」という言葉が

すごく強調されていると感じませんか?

そうかも、と思ったあなた!今すぐゆうとっぷをプレイして頂きたい!!

私も自分の作品にこんな紹介文をつけたかったですよ。

 

 ゆうとっぷの文章は一見簡潔にみえます。

でも、その文章にはかなり細かい工夫があります。

例えば、序盤の罰ゲームのシーンを例にあげましょう。

 

 テストの点数で負けた主人公が友人の山田(男)から罰ゲームを受けます。

その内容はサイコロで出た目の出席番号の女の子に嘘の告白をしろと言うものです。

ここで山田の出席番号が出てしまうんですね。

ここで主人公が、「山田、好きだぁ!」と。

楽しいシーンになってます。

 このシーンへのちょっとした伏線というか、前振りがいくつかあります。

一つは、山田がサイコロを持っているのに理由付けがしてある事。

こいつはテストの選択問題が分からない時にサイコロで答えを決めてるそうです。

もう一つは主人公が最初にサイコロを振った時に、74番だったか、

出席番号としては大きすぎる数字を出して振りなおしている所です。

この二つの前振りの効果とは何なのか。

 

それは、いきなり山田の出席番号が出ると、ジョークの為のご都合主義に映るので

それを避けているのだと思います。

罰ゲームを課す本人の山田の番号が出るというのは、ジョークとしてはありがちなものです。

でも、山田は普段からサイコロを持っている事が説明された事により、この罰ゲームが

比較的自然に発生したものである事が感じられ、さらに74番で一呼吸置く事によって

ありがちなジョークのリズムを崩し、ごく自然な展開に近づけて、クスリと笑わせます。

 

 さらにさらに、このシーンを綺麗にまとめる事によって、先の展開を読みにくくしています。

実はこの罰ゲームは後に大変な事件を引き起こしてしまうのですが、ジョークのシーンを綺麗に

まとめて、プレイヤーをそのシーンに集中させる効果があるのです。

 

 こんな工夫はゆうとっぷの至る所にありますが、もう一つだけご紹介。

おまけシナリオでの鈴木との会話です。

 

 鈴木はとぼけた性格の女の子です。

鈴木は以前に山田達と主人公の家で勉強会をした事があるのですが、

主人公はそこに鈴木がいた事を忘れてます。

鈴木に指摘されて思い出します。

その時に、鈴木は途中で寝てしまい、そのまま起きずに主人公の父親の

車で家に送った事を真っ先に思い出しますが、鈴木はその事を覚えていません。

主人公は心の中で、なんでそれを忘れるのか、と突っ込みを入れます。

 

ただそれだけなんですが、主人公からすると自分で帰れずに車で送られると

いうのは印象に残る事件だろうから、鈴木が覚えてないのはおかしいと思うだろうし、

鈴木からすれば、寝ていたので覚えてないんですね。

両方の言い分がもっともで、それでいてジョークになる面白い会話だと思いました。

ああ、鈴木は寝ていたから覚えてないんだなあ、とプレイヤーに思わせる所に

なんとも言えない面白さがあります。

 

 ゆうとっぷはおまけシナリオも素晴らしい出来です。

おまけシナリオの一つ、「27番」は最後までジョークで通すかと思えば、ラストにヒロインの

衝撃的なセリフがあります。その短いセリフだけで、それまでの気軽さが一瞬で反転し、ミステリーの

雰囲気さえ漂います。このシーンには脱帽です。ものすごく上手い。

このおまけシナリオはそのほとんどが前振りで、それだけで十分に楽しめるのでラストが

全く予測出来ず、カウンターパンチを食らうという大変な工夫です。

 

 あまりネタバレになると良くないので、詳しくは書きませんが、ゆうとっぷは

細かい工夫がいっぱいある傑作です。ゆうとっぷの解説をまともにすれば

本が一冊書けてしまいますよ。

でも難しく考える事はありません。全ては気軽にプレイしている人を自然に楽しませる

ための工夫なのですから。

是非是非、はむたいらさんの類稀なるセンスを味わって欲しいと思います。


ヒロインのツキミのつもり。壁をすり抜ける幽霊が椅子に座れるのにも訳がありますよ。



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